「商店街で結婚式を挙げる」のは当たり前になりつつあるんじゃないか、と思っています。地域振興、コミュニティデザイン、若者の地方移住、様々な軸で想像される出来事です。面白くないとか言いたいわけではありません。だって、私のいる商店街、鳩の街通り商店街でも先日行われたわけですから。「ハト婚」の数枚の写真をまずはご覧ください。
ねえ、素敵でしょう。
商店街の真ん中にあるはとホットミニ公園を中心とした結婚式には、墨田区北部、鐘淵にある墨田聖書教会の牧師さんが出張してくださいました。私道に手作りの祭壇を組んで、バージンロードをひいて。商店街にあるとり屋さんで準備してもらったローストチキンをウェディングケーキに見立てて、二人の共同作業やファーストバイトを行いました。車が通るには少し幅が狭いので、自転車を使っての退場。缶を自転車の後ろに何個も並べた様子はちょっと面白いかもしれませんが、私たちにとってはとても感動的なシーンでした。
さて、この鳩の街通り商店街での結婚式「ハト婚」はイベントの構造が少し複雑です。というのも、新郎新婦は商店街で結婚式をしたかったわけではなく「イベントでにぎわっている鳩の街通り商店街で結婚式をしたかった」からです。
過去の記事で何度かご紹介しているように、鳩の街通り商店街は春と秋(とあと夏)に少し大きめのイベントを行います。近隣の住民の方が楽しめるように。例えばハロウィンイベントとして「ハトウィン」というイベントを行ってきました。
新郎新婦はもともと商店街の仲間です。新婦さんは、こすみ図書というスペースを運営していました。新郎さんは、建築士。「まめちょうだい」という建築ユニットで墨田区内で様々な出来事の種を作ってきました。商店街のイベントに参加したり手伝ってくれる中で、その様子や、イベントが生み出す商店街と近隣の方々とのつながりに価値を感じてくれています。この価値は、鳩の街通り商店街らしいもの。だからその盛り上がりの中で結婚式をしたいという依頼があったのです。
「ハト婚」がおこなわれていた10月29日、実は、鳩の街通り商店街は通常通りに第3回ハトウィンを開催していました。イベントの内容はほぼ例年通りの(1)空き店舗活性事業の流れから企画している「体験型空き店舗内覧会」である100YENチャレンジショップ、(2)ハロウィンコスプレとスタンプラリーを組み合わせた商店街回遊施策、です。
普段と違うところは、(1)と(2)のイベントのテーマを「結婚式」にしたところです。
100YENチャレンジショップの出店者の方々には「結婚式をテーマにした何かを100円で売ってください」とお題を出しました。近くのマンションの住民の方々がいつもサータアンダギーなど焼き菓子を作って出店してくださるんですが、この日はハート型のお菓子で出店してくれました。
コスプレイベントに参加する方々には「結婚式をテーマにしたコスプレをしてきてください」と告知しました。ラプンツェルが大好きな女の子は、そのラプンツェルの映画の中でも結婚式のシーンでお姫様が着ていた衣装で参加してくれました。イベントをいつも手伝ってくれている区役所の職員さんは、普段結婚式にいく時に着る正装で、受付をしてくれました。
普段通り何気ない顔でイベントを行いながら、実際は結婚式に参加している、そんなイベントの構造をやってみたんです。
「ハト婚」に出席される方は、イベントを背景にした結婚式を楽しまれました。第3回ハトウィンに参加(出店者や来場者)された方は、通常の催事の一つの企画としての「ハト婚」を楽しまれました。見る人が見られる人になり、見られる人が見る人になる。自分たちなりに楽しんでいる振る舞いが、そのまま他人を祝福する/他人の楽しみを補う振る舞いになる。
とてもよい一日になりました。自分たちが本当にしたいことは何か、自分たちが本当に欲しいものは何か、丁寧に具体化すれば、こういう出来事は可能になるんだなということを知ることができました。
ローストチキンを提供してくださったとり屋さんが、先日「次はあなたの番ね」と嬉しそうに言ってきたのですが、もう同じようなことはできないですよ(汗 来年は、その時に必要だと思うことをまたちゃんとやります。
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