6月2日14時ごろ。ヨネザワエリカのオフィスがある鈴木荘、鳩の街通り商店街で高木神社の大祭、子ども山車と獅子舞が行われました。町会の子どもたちが集まって獅子舞の胴体と尻尾である布を持ち、商店街を練り歩きます。獅子舞は雄と雌の2体。商店街のちょうど真ん中あたり、鈴木荘や鳩ホットのある辺りで2体がぶつかりあいます。そうして獅子舞の儀礼は一段落。鳩ホットに用意したお休み処に駆け寄ります。ジューススタンドとお菓子配りスタンドのあるお休み処は、一気に、子ども王国。私たち鈴木荘のメンバーは、この子ども王国の召使に、もとい、お休み処の設置、ジュースやお菓子の配布を手伝いました。
紙コップにオレンジジュース、アクエリアス、烏龍茶。それぞれ20個ほど用意したのですが、ものの5〜10分でなくなります。急いで新しいコップを出し、ジュースを注ぎます。「おかわりいいですか?」と大声で声かける子がいれば、勝手にコップを持っていく子もいる。事前に並べていたジュースには全く手を付けないで、私が新しくコップにジュースを注ぐのを求める子にはびっくりです。飲み終わったコップを捨てる行動も大きく2つに別れていて、ゴミ箱の場所を聞くパターンと「はい」とコップを渡してくるパターン。コップを使い捨てるのはだいたい小学生まで。中学生〜高校生の青年会は最初に取ったコップを自分のコップとし、新しいコップのジュースを飲まない。この違いが面白い。全員同じハッピを着ていたので、例えばどんな服を着てる子が・・・といった違いまでわかりませんでした。もうちょっと観察したいなあ。
呉服の池田屋さん、橘美容室の奥さんも一緒に手伝ってくださいました。子どもがたくさんいる光景を前にした私は、奥さんに「子どもたくさんいますねえ。いいなあ。多いのって。」と話しかけました。途端「いやいやいやいや!」と。何を言ってるんだお前は、と言わんばかりの表情。聞くと昔はもっと子どもがいた。雄と雌の獅子舞は、本来は、雄の獅子舞は男の子だけ、雌の獅子舞は女の子だけで扱うものだった。獅子舞の尻尾を見てごらん。大人があんなに余った布をたくしあげている。昔は布が足らなくなるくらいだったんだよ。と。
自分の主観を否定するつもりはありませんが、ただ、その瞬間「素敵だな」と思った出来事が実は時間軸を広く取れば寂しい事実だった。軽く「素敵だ」「素晴らしい」「これを継続させることがまちの課題を解決する」だなんて言えない状況もあるなあと、再認識いたしました。祭り、奥深い。
さて、場所と時間を移します。同日17時半ごろ。墨堤通り沿い、白鬚神社の近くにお神輿があります。提灯には「堤図子」とあり、これは11町会ある白髭神社の氏子の一つで、私はこの町会のお神輿を担ぐ手伝いをしました。紺色の足袋を履き、いざ出陣。ところが私はこの町会の人間でなく事務所のある鳩の街通り商店街は高木神社。ということで余所者丸出しですが、気にしません!…嘘です。気にしながら最初は控えめに交通整理の手伝いなどしながら、神輿を担ぐ男たちの横を歩きます。
一度休憩がありました。担ぎ手数名が入れ替わります。私の、担ぐ番です。緊張をほぐそうと、周りの男衆に無理やり話しかけます。聞けば、この町会「堤図子」が夜に神輿をだすのは実に28年ぶり。担ぎ手の数が年々減っていた為に、お昼しか神輿を出すことができなかったらしい。j-COMの取材が来るほどにこの28年ぶりの夜神輿は、それはそれは重要な事実で、何よりまちの年寄衆の笑顔が本当に幸せそうでした。
神輿の右後ろに私は位置しました。担ぐと左前に神輿が見えます。30〜40人が神輿の両側に並びます。私が担いだ時は男女混合チーム。やりやすい。全員が黒い角材に手を置き、号令と共に持ち上げます。ずっしり。左肩にあてがった途端、掛け声が始まり揺れだす神輿。慣れない私は最初、神輿に振り回され、右に左にふらつきました。こんなのかっこわるい。もっとしっかり持って、神輿をちゃんと担ごう。周りを観察すると、キーパーソンが3人ほどいることに気が付きます。ちょうど左前にいる男性は、周りの男衆の動きをチェックしながら、全員にとって無理ないリズムで体を揺らします。後ろから聞こえる野太い女性の声は、全体の掛け声をコントロールします。彼女はいつも「えいやー」と声をあげ、一定のリズムをキープします。周りは「そうりゃー」「ほいさー」「えいやー」「えーあー」掛け声にルールはありません。めいめい、好きな言葉を大声で。このキーパーソンがいて、ある一定の統制がとれます。さらに神輿の前にいた、モヒカンを下ろしたような髪の毛をした男前は、人を殺しかねない形相でこちらを盛り上げます。その手の動きの上下幅が広がれば神輿の揺れが大きくなります。右へ旋回、左へ旋回、バック、停止、全ての動きを彼がコントロールしていました。どれだけ疲れても迷っても、この3名をチェックしていれば、何も問題ありません。
さらにステップ。担ぐことだけに集中していた前半と違い、後半は余裕が出てきます。余裕が出てくると、体の痛みや疲れを自覚します。すると少しでも楽したくなる。一番楽な姿勢はなんだろうと試行錯誤して見つけたのは、がに股で腰をある程度落として小刻みに足踏みをするステップ。がに股を維持するのは骨が折れましたが、無理して左肩の骨を痛めるよりはいい。
気持ちの余裕、3人のキーパーソン、がに股小刻みステップを手に入れた私は、何か新しい世界に飛び込んだ気持ちになりました。自分の掛け声がきもちよく聞こえてきます。神輿と自分が一体に、いや周りの人間と一体になった気がします。嘘でもないし大げさでもありません。神輿の揺れと体の揺れがシンクロすると、疲れないどころか、トリップします。あっちへ。
神との交信の手段としての祭りを実感した大祭1日目でした。夜は北條工務店前でのんびり打ち上げ。北川貴好さんがその場で作成したお神輿映像を見ながら飲むお酒は格別でした。
来年は自分の町会で、高木神社の町会で、神輿を担ぎたいなあ。
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